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2004/05/05

ケータイビジネスの二極化進む

さてさて、GWも本日で終わり。
明日から再び仕事モードに戻っていくわけですが、皆さま十分にお休みは取れたでしょうか?
ケータイ業界も、明日からは新トピックやプレスリリースが続くことでしょう。
その前に、ちょっとメモ程度に、ケータイビジネスについて最近思うことを書いておこうと思います。

最近、この業界でかなり顕著になってきた傾向ですが(いや、実はもう以前からそうだったんでしょうが)今後、ますますケータイビジネスは二極化が進む兆候がそこかしこに出てきている、と思う。
それは、ひとことで言うと「ユニバーサル産業化」、「嗜好産業化」という二つの異なるトレンドだ。

最近僕は、さまざまな新サービスのプレスリリースを見ると、まず最初にそのビジネスの持つ性質について、必ず前者の2つ「ユニバーサル志向か嗜好産業か?」のうち、どちらに分類できるかを考えてみる。

結論から言うと、現時点で普及が十分に進んでいない搭載インフラ、たとえばQRコードや赤外線、アプリなどを使って、「ユニバーサルたろう」とするサービスについては、正直言ってその将来性に、かなりの疑問を抱かざるを得ないのだ。

今までケータイに搭載されてきた新機能は、そのほとんどがユニバーサル化を志向してきた。iアプリ然り、赤外線然り、Bluetooth然り、GPS然り、QRコード然り、そして夏には搭載されるFELICAなども、ユニバーサル志向のもっともたるものだろう。

こうしたユニバーサルインフラの搭載競争において、ドコモは常にKDDI以下にリードを取ってきた。あえて言えば、au/Vodafoneあたりは、ドコモが作った「ケータイの常識」に乗っかることで、いい商売をさせてもらってきたと言っても過言ではなかろう。

夏以降も、ドコモは、こうした「ケータイのユニバーサルインフラ化」をさらに進めようとしている。赤外線やFELICAをiアプリと連動させることで、決済や認証のプラットフォームにしようというものだ。
だが、最近気になっているのは、「こうしたケータイのユニバーサルインフラ化が、果たしていつまで続くのか?」ということだ。
端末のサイズ、コスト、そして何よりも操る人間のITリテラシーの限界から見ても、ケータイの多機能化はいつかは必ず終わる。ある限界点が来れば、何を搭載し、何を捨てるかという選択の問題となってくる。
それが、いつ、どの時点で終わるかということが、今後のケータイビジネスにおける一つの見極めポイントになると思う。

昨年後半以降、KDDIやVodafoneは、テレビ付きケータイや、ラジオ付きケータイ、そして「Infobar」のようなデザインコンシャス端末など、主に端末側で特徴を打ち出そうとしてきた。こうした戦術は、シェア2番手以降のキャリアが行う「弱者の戦術」として極めて正しいと思う。なぜなら、「テレビ付きケータイがどうしても必要な人」というのは、数こそ多くなくても、一定数は必ずいるはずからだ。そういう個々人の嗜好の差異になるべく多く応えていく、つまりは「多様な端末を用意する」ことで、結果として数を取っていこうという考えだ。
逆に、ドコモのように、シリーズでサービスを統一して一気に機能を載せていくようなスタイルは、シェア一位のキャリアでなくては難しい。なぜならユニバーサルインフラは、多くの場合、このblogでも散々触れてきたネットワーク利便性の第一定理「メトカーフの法則」に支配されるからだ。

コンサルの現場で、そしてケータイ/ITにあまり詳しくない人と話していて、いつも感じる初歩的な誤解の部分はここだ。
たとえば、あるインフラ系サービスにおける搭載数(たとえば、他社に対して互換性のない動画メール機能など)が、A社とB社で2倍の普及差があるとする。すると想定される市場規模の差も、「2倍」と考えがちだが、実はそうではない。
実際のところは2倍の更に二乗で、4倍は違うと考えておかねばならないのだ。そう考えると、シェアで2番手以下にあるキャリアなり、CP(コンテンツプロバイダ)なりが、1番手に勝つということがいかに困難か、想像するに難くないと思う。

最近気になっているのは、iアプリやEZアプリのような携帯アプリは、果たして「ユニバーサルインフラ」と呼べるのかどうかということだ。
たとえば、アプリを使ったゲームを出すとする。ゲームは、基本的には決して「ユニバーサルサービス」ではない。各人の嗜好に応じて選ばれる選択性のサービスだ。だから、こうした分野は需要がある限り、必ずビジネスは成立するだろう。
(だが、かつてのドラクエやポケモンぐらいになると、「やっていないと職場(学校)で話題に付いていけない」などの副作用が生じるため、ある意味でうにバーサルサービス的な様相を帯びてくるのだが)

しかし、たとえばアプリで決済プラットフォームを作ったり、あるいはQRコード認証などを用いたサービスを手がけようとしたらどうだろう?
どうやら秋以降、アプリ非搭載でコンパクトなボディを持った、「ライトユーザー向けFOMA」も登場するらしい。
ドコモのケータイでは現在、アプリ搭載機種は半数を超えたとは言うが、この春商戦でのドコモ/auのシェア争いの結果などを仔細に分析すると、そこから浮かび上がってくる事象は、「消費者はすでに、これ以上のケータイの多機能化は欲していない」という事実である。
(今後、ボーダやツーカーにも十分にチャンスがあると僕が考える根拠も実はここのところにある)
どうやら、3Gだから、ケータイアプリの搭載率は必ずしも向上するとは言えなさそうだ。少なくとも、初めて携帯電話にJAVAアプリが搭載されてより3年とチョイ。携帯アプリは明らかにユニバーサルインフラとなることには成功していない。実際にアプリ搭載機種を持っていても、一度も使ったことのない人は相当に多いはずで、実際、ドコモのリリースでも、アプリ搭載機種の「普及率」は公表されるが、その「利用率」が公表されたことはない。
おそらく、アプリ搭載機種ユーザーの「アプリ“非”使用率」は、相当に高いのではないだろうか。

このように考えてくると、例えば、iアプリでQRコードを使うようなソリューションがあったら、ユニバーサルサービスになるためには、もはや絶望的に不利なところにあることがわかるはずだ。
たとえば、QRコードとアプリが同時に使える機種のユーザーが、ドコモ全ユーザーの5人に一人しかいなかったとしたら、そのサービス利便性(=ネットワーク利便性)は、メールやブラウザなど、すべてに搭載されたサービスを使うモノに比べ、5分の1の二乗、つまり、「25分の1」にまで利便性も低下してしまうことになる。
それでは、わざわざ経費をかけてサービスを導入するよりも、「メールで認証すればいいじゃないですか」という話になってしまうだろう。

最近とても気になっているのは、夏以降にはじまるFELICAの搭載が、iアプリをコントローラーとして提供されるということだ。
つまり、FELICAは決してドコモの全機種に搭載されるわけではないことにになる。ドコモのケータイは、FOMAにせよmovaにせよ、アプリを搭載すると、ベースバンドチップに加え、アプリケーションプロセッサの搭載が必要になるため、アプリを搭載すると、どうしても端末をコンパクトにすることはできないという。
とすれば、先日ここでも話題にした、「P252is」のような、コンパクトな端末で、FELICAを使うことは多分不可能な話となってしまうだろう。

更に言えば、auは、BREWもベースバンドチップでコントロール可能なため、コンパクトなデザインでもアプリが搭載できる可能性が高いことも付け加えておこう。
チップ構成がシンプルで済むということは、端末のコンパクトさ、コスト、そしてデザインの自由度においても、相当に有利となる。このことは、今後はかなり重要なファクターとなると予想しておく。

この業界に関係するひとびとも、依然としてFELICAの普及に期待し、「ケータイがサイフになる」という、極めて「ユニバーサル志向」な広がりを夢見ているようだ。
コンビニ決済やモバイルコマース、そしてSUICAなどのほかにも、たとえば、モバイルチケッティングに、テーマパークの入場に、図書館で使う、ほかには医療系のサービスなどなど、さまざまな用途がブレストレベルで提案されているようではある。だが率直に言って、その多くは失敗に終わるだろうと思う。
要するに、アプリ搭載機種でなければFELICAが使えないというならば、ケータイFELICAの利便性を享受できる層とは、少なくとも、ある程度以上ケータイを「実際に使っている層」と合致するはずだ。とすれば、FELICAの決済サービスを、店舗や施設など、リアル系の決済&認証で「普及」させようという試みは、おそらく失敗するだろう。

おそらくFELICAは、モバイルコマース、オークション、そしてネットワークRPGや出会い系サービスなど、まずはバーチャル系サービスでの決済・認証に広がりを見せるだろうと思う。更に言えば、パソコンインターネットの決済手段としても、案外延びるのじゃないかと思う。要するに、コンテンツやサービスをPCで購入し、認証や決済をケータイで行うというイメージだ。
だが、多くの人が期待するところの、「ケータイがサイフになる」時代などは、おそらくそう簡単にはやってはこないだろう。
それを実現するためには、今後、FELICAを使うことで、相当の経済的な利便性がユーザーに対して担保されていなければならないからだ。

「友だちが持ってるinfobarかわいいからアタシもほしいけど、でも、今のFELICAケータイなら、○○を買うとき、すごく安くて便利だから、今のでっかくて可愛くないケータイでガマンするしかないのかなぁ」という具合だ。

今後、このあたり、リアル系のビジネスとバーチャルインフラ間をつないで「インセンティブ利害調整」するようなビジネスも、実は結構可能性がありそうな気がする。
それが具体的に何なのかは、今はちょっと言えない。
今後も、このあたりには着目して、考え続けていきたいと思う。

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