FOMAユーザーから見たauのWINケータイ
最近、FOMAのF900icと併用で、ずっとauのW21Sを使っている。
◎W11よりサクサクになったブラウザが嬉しい
以前も、WIN端末の初代モデルである「W11K」を使っていた。
W11Kは京セラ製だが、実質的には日立のOEMだったので、「きくばりスイッチ」をはじめとして、各所に日立特有のインタフェースを持っており、それはそれで使い勝手が良かったのだが、いかんせんau標準搭載のブラウザ「OpenWave」が動作がとにかく重かった。
auユーザーは、iモードユーザーに比べて、一般にWEBブラウジングの頻度は低いようだが、「これだけブラウザが重いのじゃそれも当然だろうよ」と思ったほどだ。
新しいW21Sでは、OpenWaveのバージョンこそW11系と同じだが、ブラウザの実行速度は大幅に改善されている。
WEBブラウジングは、FOMA搭載の「NetFront」とほとんど同じ感覚で快適に操作ができる。NetFrontは、もともと機能がシンプルな分、動作の軽さを身上とするブラウザだから、それと遜色ないというのは大したものだ。
(とはいえ、OpenWave特有の難点として、描画・表示が終了するまでキー入力が一切利かないというのは、やはりどうかと思う。単に物理的な重さだけでなく、ユーザーから見てこういう点がますます心理的な「重さ」になるのだろう)
OpenWaveの反応が向上したのは、恐らくBREW対応の新しいEV-DOチップのパフォーマンスが向上したおかげなのだろう。
また、少なくとも東京近郊であれば、最大2.4MbpsというEV-DOネットワークの恩恵もあり、アプリや着うた・ムービーのダウンロードなどもFOMAより高速だ。付け加えると、やはり800MHz帯の恩恵か、屋内などでもネットワーク接続が安定しているため、接続>データ通信までの実質的な速度は、概してFOMAよりも高速に行える。
◎EZナビウォークも実用的で楽しい
また、定額ケータイでこそ真価を発揮するマンナビゲーションの「EZナビウォーク」も、W21Sで初めて本格的に試すことができたが、これも予想以上に実用的で楽しい。
以前は、取材アポなどではじめて行く場所があるときは、わざわざ地図をプリントアウトして出かけていたのだが、最近ではオフィスの住所をパソコンからW21Sにメールして、EZナビウォークに入力して出かけるようになった。自宅からの経路案内では、乗り継ぎ案内、時刻表も含めて経路が出るため、事実上これだけで経路案内はすべてOKだ。今週だけで、純粋に実用としてEZナビウォークを使った機会は4回もあり、個人的には、すでに「必需品」だ。
さらにEZナビウォークには、こうした実用性以上の魅力もある。何よりも素晴らしいと思うのは、「生活の質(Quoliti of Life)」の向上を実感できることだ。
自動車に乗らない生活をしている僕でも、「GPSのある生活の楽しさ」というものを気付かせてくれる。こればかりは、測地から地図の表示までに30秒程度もかかっていた従来の「EZナビ」では味わえなかった感覚で、ほぼリアルタイムでナビゲーションができるナビウォークのメリットは大きい。
EZナビウォークを使っていると、「気になった場所をブックマークできる」という楽しさがある。
先日の夜、ちょっと足を伸ばして気の向くままにバイクで東京23区外の街を走っていたとき、(ファミレスには時折あることだが)通常と違う、イタリアン寄りに特化した珍しい店舗形態のジョナサン(ファミレス)を偶然に見つけた。
入ってみたいと思ったが、あいにく食事を済ませたばかりだったので、「また今度来てみよう」などと思ったとき、EZナビウォークは実に使える。そこでバイクをちょっと留めて、EZナビウォークを使ってその場所を「Myスポット登録」した。
こうしておけば、今度ここに来たいと思ったら、自宅からの経路案内までしてもらえる。
バイクでなくても、徒歩でも自転車でも、「街角探検派」「散策派」にとって、EZナビウォークはとても楽しいと思う。
僕の自宅は杉並区の住宅街にあって、自動車もほとんど通れないような、細かい路地がたくさんある。そうした場所をEZナビウォークを見ながら散歩すると、通りを隔てて一本向こうにあって、今まで存在すら知らなかった病院や公民館の存在まで知ることができる。大げさに言えば、街を「再発見」することもできるのだ。おかげで最近は、W21Sを持って出かけるのが楽しみになった。単なる実用性以上に、QOS(Quolity of Life)の向上が実感できるのは大したものだと思う。
ただし、EZナビウォーク自体のメニュー構造は、確かに少しゴチャゴチャしている上に、ブラウザとBREWアプリ両方でメニュー構造が混乱しているので、インタフェース面では改善の余地は大きいと思う。このあたりは更なる洗練を望みたい。
とはいえ、W21Sは最新の携帯電話だから、端末それ自体のインタフェースは洗練されているし(PSXと同じクロスメニュー構造)液晶画面も、au端末ではもっとも明るいバックライトのカンデラ数が確保されているので画像のキレイさも十分だ。デザイン自体はソニーエリクソンにしては保守的だが、それでも質感はあり、チャチな印象もなく悪くないと思う。こうした、シンプルに徹することで質感で勝負しているようなケータイは、ドコモの端末にはほとんどないから使っていて新鮮な印象だ。
◎メールリトライは嬉しいが、マルチタスク、UIMカードがほしい。
また、これはau派がFOMAを貶すときに散々槍玉に挙げてきたポイントだが、メールの取得のリトライが常時行われるのは、公平に見て確かに便利だ。
それも含めて、auのメールシステム自体、FOMAのそれよりも明らかに優れているとは思う。このあたりはauユーザーには当たり前のことなのだろうが、FOMAと併用して特に便利だと思うポイントは、添付ファイルのファイル名がちゃんと表示されることだ。FOMAの場合、読めない添付ファイルは一律に「添付ファイル削除」と出るだけだが、auの場合は、読めないデータ形式やファイルサイズであっても、ファイル名と拡張子だけはちゃんと表示されるので、出先でも、どのようなファイルが添付されて送られてきたのかすぐ分かる。たとい中身を確認することができなくても、それだけでも便利である。
ただ、やはりFOMAに比較して不便だと感じるポイントもある。
一番不便なのは、マルチタスク・マルチアクセスの機能がないことだ。メールの到着を待ちながらGPSやアプリなど、他の機能を使っていたときに、メールの着信はそれらを終了しないと分からない。また、特に僕が使っているF900i系はハンズフリーの実用性が高いので、マルチアクセス機能を使って、通話をしながらメールを読むこともできるのだが、auのWIN端末ではこうした芸当はできない。
また、これは、来年以降とされる機能限定版の「ライトユーザー向けFOMA」が出る頃に、巷で多く指摘されるであろうポイントだと思うのだが、UIMカードで端末を「着替える」ことができないのは、au端末の大きな難点になると思う。
僕のように何台も携帯電話を併用する人ならいいのだろうが、そんな人は、勿論世間ではごく少数しかいない。今後、いつでも同じケータイを持ち歩くのではなく、腕時計のように、シーンに応じてUIMカードで携帯を使い分けるということも多くあるだろうと思う。オンタイムではコンサバなデザインで多機能の端末、オフタイムはアクセサリーとしてもアピールできるデザイン性の強い端末というような使い分けができてこそ、携帯電話による「クオリティ・オブ・ライフ」は高まると思う。(一部で言うところの、「おサイフケータイを持てば、持ち歩く会員証やポイントカードが減ってサイフが薄くなるから便利」などというのは、恐らく多くの女性などにとっては、まったくアピールしないポイントだと思う。そもそも、そんな便利さを享受できる時代など、あと3~5年はやってこないだろうが(笑))
デザインにこだわりを見せるKDDIならばこそ、TPOに合わせたケータイを持てるUIMカードを導入してもらいたいと思うのだ。
本来、欧州のGSM携帯のように、キャリア契約と端末選びがある程度独立していれば、シーンに応じてケータイを着替えるというライフスタイル自体、もっと定着していてしかるべきなのだが、日本では端末インセンティブ抱き合わせ商法の功罪もあり、ケータイは、TPOで着替えるという「大人の豊かさ」よりも、むしろインセンティブモデルで「初期投資の安手な子どもの慰み」に堕してしまっていると思う。
いずれにせよ、W21Sの商品力は大したものだと思う。こんなに凄い機能を持ったケータイを安い店なら1万円前半で入手できる日本人は幸せだ。
同時期に出たWIN端末では、ラジオやUSBストレージクラスなど、より高機能なW21SAもあるが、そちらは機能重視で、かなり無骨な印象であり、スペック追求派にとっては良い選択肢なのだろうと思う。(W21SAを見て、自動車で言えば「ランサーエボリューション」や「スカイラインGT-R」のような機能性第一主義の無骨さを連想したのはあながち僕だけではあるまい)
でも僕自身は、いつも持ち歩くケータイについては、もうちょっと柔らかさやスマートさも大切にしたい。そういう意味では、今僕が所有するケータイの中では、W21Sは一番気に入っている端末である。
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