901i発表会での質疑~端末メーカーに言いたいこと
なんだか、思い出したように発表会の話をたびたびアップしてごめんなさい。
発表会のとき、質疑応答で、どこかの女性が(メディア名は名乗りませんでしたが、質問内容からして多分海外マスコミの日本支社だと思われる)、こんな質問をしていた。
Q:国内端末メーカーは11社ほどもあるが、海外においてはどのメーカーも(ソニーエリクソンは別でしょうが)存在感が低いのはどうしてか?もう少し協業や効率化などを図るべきなのではないか?
この質問、キャリアの新シリーズの発表会で発するのに本当に適切な質問かどうかは分からないが、日本のように通信キャリアが端末の企画やスペックまでを支配している状況では、ある意味ここで尋ねることも仕方ないのだろう。
これに対する夏野氏の応答は、
A:「端末メーカーが国内だけで11社もあるからと言って、それが即効率が悪いことにはならない。その証拠に、自動車メーカーも日本には同じぐらい多数あるが、上手くやるところは上手くやっている」
A:「端末メーカーが諸外国で上手く食い込めていない理由は、どうなんでしょうね、営業力の問題や、政治力の問題などもあるのではないか」
これ、端末メーカーが聞いたら、きっと怒るだろうなぁ。
だって、端末メーカーの多くが手がけているPDAやノートPC、それにデジカメやHDDレコーダーなどデジタル家電の分野では、各社必ずしも海外進出が上手くできていないってわけではないもの。
日本製の最新ケータイが、RF部を海外の電波方式に対応させる程度の小改良では海外で売れない理由。その最大の要因は「高コスト」である。
このことはクァルコムジャパンの松本社長もはっきり名言していたが、国内ではインセンティブで3万円台で入手できるケータイも、海外に持っていけば、そんな多額のインセンティブを付けることは難しいから、結果的に6万円以上とか、そういう値段になってしまう。
海外キャリアにしてみれば、「そんな高いケータイとてもじゃないが売れません」ということになる。
端末のコスト高を抑えるために、ルネサスと1チップ化をやったり、メンツをかなぐり捨ててまでクァルコムからW-CDMAチップの供給を受けようとしている動きを見れば、これだか高機能なケータイを売る日本は、世界的に見ても特殊な状況であることをドコモも承知してきているはずなんじゃないだろか。
インセンティブ制度によって端末メーカーにそれなりの高額での買取り保証をし、端末を納品させるという日本のやり方は、端末メーカーの決算を多大に潤わせることはしたけれど、結果的に、海外に打って出るだけの気力とリスクテイクを萎えさせてしまったことだって事実だろう。
結局これも、多くの産業分野にまったく共通した現象、「法制度や規制で守られた産業に従事する法人は、海外進出しても多くが失敗する」ということとまったく同質だと僕には見える。
ローリスク(本当はそうとも言い切れないが)で美味しい国内市場と、より多くを狙えるリスキーな海外市場。
長い目で見ると、どちらが有利だろうか?
ま、それは端末メーカーが決断すべきことではあるのだろうけど。
実際、各端末メーカーは、他の製品分野では果敢に海外市場に挑戦して上手くやっている。(パナソニックなどは、「世界の価値あるブランド」調査でも、すでに国際的に相当上位に位置している)端末メーカーが自由に競争すれば、もっと国際的に見てコスト競争力もあり、優れたプロダクツだって出てきてくれるはずだと思う。
それから、端末メーカーに一つだけ言いたいことがある。
「消費者のマーケティング調査」などはあまり信用しないで、本来プロフェッショナルであるはずの自らが信じる、「理想の携帯電話」というものをもっと考え、もっとももっと追求してほしいということだ。
消費者というものは、決してこの世に存在していないものをアンケート調査で示唆してくれなどはしない。だから、テレビの付いてるケータイが欲しいわ。とは言っても、自分自身ほとんど遣ったことがないテレビ電話用インサイドカメラへの手抜きについては触れることがない。マーケットリサーチなどというのは、社内での責任回避のためには有用だろうが、本当に指標になりうるものじゃないのだ。
「ヲタク消費者の言うことなどは信じるな」というのは、全てのプロダクツに共通した真実である。
結果的に、マーケットリサーチばかりを気にするからどれも似たようなベクトルになり、せいぜいが「女性向き」だとか、「ロースペック・ハイスペック」程度の差異ばかりになる。(そもそも、ロースペック⇔ハイスペックを区分けするベクトル自体も不明なわけだが)
端末メーカーは、消費者を啓蒙する役割をも負わなければならぬと思う。キャリアの言うことなどテキトーに流して、独自の決意を持って頑張って欲しい。あなた方は、日本の携帯キャリアよりも、国際競争力のある産業の従事者なのだ。
近々、経済産業省で情報家電を担当する方に個人的に会う予定なので、このことは強く主張してこようと思う。
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