個人間決済「Edy to Edy」に感じる一抹の懸念
1年近く前に当Blogで触れましたが、ついに7月20日からEdyで個人間バリュー移動が可能になるそうです。
その名も「Edy to Edy」。遂にはじまりましたね。
バリュー移動にかかる手数料は、5,000円までが一律に消費税込みで53円。
(計算上は52.5円ですが、端数のため切り上げ設定されているようです)
以後、5,000円を超えるたびに消費税込みで1.05%の手数料がかかるということです。
ちなみに多くのメディアでは、プレスリリースの記述をそのまま引き写して、この手数料の値を、「50円、1%で、それぞれ消費税がかかる」と記載していますが、そういう書き方はちょっといただけませんね。
やはり税込みでちゃんと表記すべきでしょう。事実、Edyのサイトでも、消費者向けの説明ではプレスリリースとは記述の仕方を変えて、ちゃんと「53円」と総額表示を行っているのですから。
それに、消費税は現時点でこそ5%ですが、数年後には10%程度かそれ以上になることはほぼ確実なので、こうした小額決済では、税率が上がれば手数料の値ごろ感にもバカにならない影響があると思います。
消費税が10%になれば、上記の金額は、それぞれ「55円、1.1%」にまでなります。
現在は、サービス上限金額の5万円の場合で手数料は現在は525円ですが、消費税が10%になると、これも550円にもなります。
些細な額に見えるかもしれませんが、積み重なればバカにならない金額です。
※訂正とお詫び※
昨日、この部分で、「Edy to Edyでは受け側は完全に匿名でバリュー受信が出来てしまう」と記述しましたが、サービス開始当初は、受け手も携帯電話に搭載のEdyに限定されるとのことですので、完全な匿名は、他の違法な手段を使わない限りは不可能でした。
訂正してお詫びいたします。
ただし報道資料によると、「将来的にはカードへのバリュー贈与も検討中」とあり、この場合、市中に多数ある匿名で入手できてしまうEdyカードはどうなるのか?という疑問は依然として残ります。
すでにEdyは、昨年11月の段階で規約が改正されて、本人確認の強化や枚数制限(1人5枚まで)など、徐々にセキュリティを強化する方向に向かっているようです。現時点では、まだノベルティとして配布するなど、匿名でゲットできるEdyカードは多数存在しているようですが、最終的には、カード型のEdyでも、本人確認を必要とする方向に規約も強化されていくのかもしれません。
◎こうなると気になるのは財務省と日銀の意向
前々から気になっていたのは、ついに個人間決済が可能になったことで、今後Edyのような「バーチャルなおかね」が普及した場合の、日本経済に及ぼす影響、さらには、日銀がこれをどう考えるかということでしょうか。
日銀が日本経済をどうやってコントロールしているのかというと、基本的にはシンプルに3~4つの手段でそれを行っているに過ぎません。
その中でも主たるものは「公定歩合の設定」、それに「マネーサプライのコントロール」です。
私は経済学の専門家ではないので、専門用語を駆使しての解説はできませんが、
日銀はその役割として、バーチャルなカネの制御~たとえば、銀行⇔大企業間の金銭の流通コントロールや、国際間の通貨の移動のような「マクロな経済」の部分を公定歩合の操作や為替相場への介入、準備率の変更などで行い、物価や給与水準のような、リアルなカネの制御を、紙幣の印刷される枚数・硬貨の造幣量(マネーサプライ)をベースにコントロールしています。
たとえば、インフレが進みすぎていると日銀が判断すれば、新しい紙幣の印刷量を減らして通貨の流通量を減らし、デフレが進みすぎていると判断すれば、今後は紙幣の印刷量を増やして、市中のお金の総量をコントロールするわけです。
(実際には国債の発行量などを通じてマネーサプライのコントロールを行うのですが、シンプルに言えばこういうことです)
以前にも書きましたが、ビットワレット社の試算によると、日本全体では、3,000円未満の小額決済は、年間で約60兆円という規模になるということです。
このうち、Edyのような電子マネーが普及して、なおかつ個人間決済が増大してくると、それらは「紙幣経済(ミクロ経済)のバーチャル化」を意味するため、物理的な貨幣の流通量に影響を受けにくいサービスとなることでしょう。要するに、「マネタリーベースよりもマネーサプライが大きい」という信用創造のプロセスにおいて、日銀でもなく市中銀行ですらない、NTTドコモやソニーのような一般企業が、結果的にその役割の一部を負うようになるという見方もできるでしょう。
それでなくても、クレジットカード決済の増大やネット銀行の普及などは、今後小さくない影響を日本経済に及ぼすだろうと言われて久しく、また、以前から気になっているのですが、ネットオークションの普及なども、こうした「政府に察知・制御ができない経済取引」の増大傾向に拍車をかけているわけで、こうした日本経済に影響を及ぼしかねないお金の問題を、私企業が手がけるのが本当に適切なことなのだろうかという疑問は残ります。
現時点ではまだ噂のレベルに過ぎませんが、いずれ日銀などがこうした電子マネーには介入してくるだろうとか、財務省では一部の官僚がすでにこれを問題視しているなどという声もちらほらと聞こえてきています。
そう考えると、FeliCaとEdyを担ぐソニー、そしてビットワレットの第二位株主となったNTTドコモは、今後は否応なしに、こうした政治的なレイヤーに踏み込んでいかざるを得ないということなのかもしれませんね。
財務官僚が現状の電子マネー、そして「おサイフケータイ」に対してどのような考えを持っているのかという点については、折を見て、ぜひ隠密での取材をしてみたいと考えています。
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