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2005/07/30

サイフは薄くなったが「脳内サイフ」は複雑に

またまたFeliCaの話題です。

昨年にF900icが出るた直後におサイフケータイを試し、その後暫くのあいだ、カスタムジャケットの使えるP900i~P901i(ともにFeliCa非対応)にしていました。
最近になって、Edyの5%キャッシュバックが始まったのをキッカケに、再びFeliCa対応の「P901is」に変更して使っているところです。
この半年ほどの「おサイフケータイブランク」の間にも、対応店舗は少しづつ増えていました。

ところが、日常でEdyを利用する機会が増えると、また別の問題が出てきたことに気が付いたのです。

◎「おサイフをふたつ」持つことで心理的な混乱が

通常人は外出するとき、何を持って出かけるでしょうか?
まぁ常識的なところとしては、「財布」、「ケータイ」がもっともポピュラーで、人によってはタバコとライター、ハンカチやポケットティッシュ、ipodのようなポータブルオーディオ、コンタクトレンズのケース、手帳と言ったあたりでしょうか。

確かに、常に持ち歩くものの定番だからこそ「ケータイを財布に」は、至って素直な発想ではあります。
現代人がいつでも持ち歩くケータイにサイフやチケット・会員証の機能を持たせようというのは、理屈の上では納得できるのです。
僕自身、日常でよく使うようになるまではそう思っていました。

ところが、いざ実際に使ってみると、コトはそんなに単純ではないということに気が付きました。

たとえばです。
あなたは今、自分のおサイフに現金が幾ら入っているか即座に回答ができますか?
恐らく多くの人は、サイフの中身を確認せずに、金額の端数までキッチリと答えることはできないでしょう。
大体アバウトに、「ウン万ウン千円ぐらいで、あとは小銭がちょっと多めに入ってたかな?」程度の記憶ではないかと思います。

恐らく人間は、物理的なサイフを持つ以外に、脳内にそれを管理する、いわば「脳内サイフ」とでも言うべきものを持っているのだろうと思います。それで、現金で何かを買うたび、サイフの中の残額をチラリと一瞥して、『残りはあといくらぐらいだ。銀行で現金を下ろすのは、まだ数日先でもいいだろう』などと大雑把な計算を無意識のうちに行っているわけです。

ところが、Edyを使い始めると、こうした「脳内サイフ」とでも言うべきものが、頭の中にもう1つできてくるのです。
リアルなサイフのほかに、もう一個バーチャルなサイフができることで、脳内サイフも確実に1つ増えるわけです。『リアルなサイフの中には今いくら入っている。そしてケータイにはいくら入っている』
と、脳内にある漠然とした所有残高の記憶が2倍になるわけです。

しかも、このサイフは厄介です。何せ、使える店と使えない店があるため、「買えるモノと買えないモノ」という概念まで入り込んでくるわけです。
たとえば僕の場合、ペットボトルのお茶をよく買いますが、500mlの小さなお茶ならば手軽さを重視してコンビニで買いますが、2リットルの大きなペットボトルのお茶となると、安く買えるスーパーマーケットか、近所のディスカウントストアでまとめ買いしたりします。すると、前者はおサイフケータイでも買いますが、後者についてはおサイフケータイが使えないということになるため、商品によって使い分けが生じるわけです。
もちろんこうした使い分けが生じるのはお茶だけでなく、他にも無数にあります。

もちろん、「2つのサイフ」を持つことで、便利になる部分というのもあります。
たとえば、週末にサイフの残高が少ない場合、今までなら、「余裕を見てちょっと余計に引き出しておこうか」と思うことが以前よりは減った気がします。多少残高が少なくとも、Edyの方にバリューが入っていれば、コンビニなどでの買い物にはそちらを使うこともできるわけですから。

◎SUICAまで入ったら、「3つのサイフ」を使い分けられるのか?

しかし最近になって気が付いたのですが、この「脳内サイフの増加」は、僕の日常に、ほんのわずかの心理的ストレスを増している気がします。要するに、覚えておかねばならないことが1つ増えたのです。
これはすでに、一種のテクノストレスではないかと思われるほどですが、我われがおサイフケータイを使う以上、こうした「微かなストレス」は、1年365日、24時間いつでも付いて回ることになるのです。

来年以降、今度はSUICAがケータイに入り、同時に駅周辺などの特殊なロケーション以外でも、SUICAで決済をする機会が増えるということになります。
しかし、その場合、われわれは、「リアルのサイフ」「Edyのサイフ」「SUICAのサイフ」という、合計三つもの「脳内サイフ」を頭の中に持つことになります。この微かなストレスは当然さらに増大します。

以前から言われていることですが、「ケータイ1つで買い物ができて便利」「会員証などがケータイに収まるので分厚いサイフを持ち歩く必要がなくなる」というのは、もしかしたらそうなるのかもしれません。
ただし、物理的な負担が軽減した分、われわれは、新たに心理的な負担を抱え込むことになります。

KDDIも本格的に力を入れていくことを表明し、おサイフケータイは既に社会インフラとしての普及の道を着々と歩み始めたと言えるのでしょう。
さる、おサイフケータイのサービス事業者は、「紙の会員証を電子化することでコスト削減が可能になり、店舗CRMの効率も大幅に向上する」と言いましたが、しかし、よく考えてみるとそれらは、サプライサイドにとっての「便利」ということなのじゃないでしょうか。本当にそうした業務効率の向上によって、我われはより良いサービスを、安価に享受することができるようになるんでしょうか?

正直、現状では「おサイフケータイが人を幸福にする」とは、まだ私には思えないのです。

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