携帯電話&モバイル業界~2005年マイトピックその2
さて、「その2」では、5つのうち後半3つのトレンドを挙げてみました。
(3)「サービスプラットフォーム志向」減衰の兆し
1年半ほど前にも当ブログで書きましたが、もはや皆が使うことで価値が生じるプラットフォーム系のサービスは、少なくとも今後数年は、携帯電話を大きく変えることはないでしょう。
ただし、「ワンセグ搭載端末」を除いてですが。
それは(1)でも挙げた「端末デザインレベル向上」と表裏一体となる問題です。
どのモデルも同じような機能を搭載すれば、どうしても似たようなカタチを取らざるを得ないのです。「機能は形に表れる」以上、「どれにも同じプラットフォームを載せて、サービスを一気に普及させていく」という、iモード的な価値観は今後徐々に衰退に向かうだろうと思っています。
それに伴い、今後は機能をそげ落としたモデルこそ、「クール」と見られるようになるかもしれません。
しかし、そうしたトレンドを象徴する、シャープが出した「大人ケータイ」の「DOLCE(SH851i)」は、端末の型番からも変わるように、「らくらくホン」の一種であり、iアプリやキャラ電、デコメールなどが載りません。
「では大人はEdyやiD、モバイルSUICAやiアプリは使わないのか?」とツッコミを入れたくもなります。(実際iアプリは、別にゲームばかりではなく、オンラインバンキングやオンライントレードではかなり重要な機能です)これは「らくらくホンフォーマット」という規格に沿ってしまった開発であるが故の一時的な混乱で、今後はこうした機能が過不足なく搭載されていくのでしょう。

※FOMAの「DOLCE(SH861i)」と「らくらくホンシンプル」
後者はついにFOMAの掟を破ってテレビ電話機能まで削ぎ落とした。
シニアにこそテレビ電話は必要ではないのか?
いずれにせよ、こうしたDOLCEにおける機能搭載の硬直性を見るにつけ、まだまだ携帯電話端末は、市場の声をダイレクトに反映しているというには程遠い印象があります。
このあたりは、今後数年をかけて改善していくのでしょうか。
(4)WILLCOM躍進は「音声回帰」への可能性を示す
WILLCOMが好調です。何よりすばらしいのは、同社が「PHS」という規格そのものに対する消費者のネガイメージを払拭しつつあることですね。W-ZERO3のような「クールなテッキー」イメージの端末は、実際のW-ZERO3の完成度はともかく、同社のフラッグシップとしてイメージを大きく向上させています。
しかし、「WILLCOM躍進」の本当の意義とは、実はそうしたスマートフォンやデータ通信分野ではなく、音声定額による劇的な指標の改善にあると思います。
もともとWILLCOMユーザーは音声通話が少なかったとは言え、同社の音声定額は、短期間のうちにWILLCOMのMOU(Monthly minutesof use・月間利用時間)を、なんと3倍以上にも増加させてしまいました。今まで、相手が限定された定額通話にはそれほどの需要はないと思われていた「常識」を、この通話定額は打ち破ってしまったのです。
この事実は、BBモバイルやイー・モバイルが言う、「日本の携帯電話は音声通話の料金が高いから、否応なくユーザーはメールを使っているのだ」という主張を一部裏付ける形になりました。
確かに日本は携帯メールが著しく普及していますが、これだけパケット単価が低下してくると、「ボイスからデータへ」というトレンドが、少なくとも通常のC2Cコミュニケーションでも今後主流であり続けられるかどうかには、疑問を呈しても良いのかもしれません。
(後で追加:ここのところ、わかりにくいかもしれないので追加で説明しますと、要するにパケ代が安くなった3G主流時代は、デコメールでも使わせない限りメールはキャリアの収益に相対的に寄与しなくなってくるため、いっそ音声トラフィックをもっと増やす方策を取った方がARPU上有利という判断が出てくるかもしれない、という意味で書いています。ましてやドコモ社内でも問題になっていると言われるプッシュトークの使い勝手の悪さを考えればなおさらです)
こうした結果に対抗する動きが各社で強まれば、来年以降の日本の携帯電話は、実に1999年以来6年ぶりに、「メールから音声への回帰」というトレンドが見られるようになるかもしれません。
(5)「脱公式サイト」の動きはじまる
今年、ついに公式サイト最大級のドワンゴが勝手サイトへ本格的に進出していくことを表明しました。
また、ワンセグへの積極的関与やM&Aがクローズアップされがちなインデックスも、実は密かに(別に隠してはいませんが全然注目されていない重要トピックなのです)同社の勝手サイトによるコミュニティサービス「Gocco」を、会員数20万人以上という大規模サイトに育ててきました。
それだけのユーザー数を獲得するには、恐らく相当の会員獲得コストを使ったことと推測されますが(噂によれば、一説には「4,000万円以上」といわれています)インデックスのことだから、その「投資」に見合うだけのメリットが十分あると見ているのでしょう。事実、Goccoを見ていると、mコマースやタイアップなどを含めた広告ビジネスなど、大きな仕掛けも次々と繰り出されています。
さらにはYahoo!も、「Yahoo!コンテンツストア」において「コンテンツポータビリティ」を錦の御旗に掲げ、本格的な携帯コンテンツアグリケーション事業に参入してきました。その影響はまだ小幅なものにとどまっていますが、特筆すべきは、2006年後半以降に「PCサービスと(携帯コンテンツ)の複合的なコンテンツ提供」を掲げている点です。
これは、戦略を全面的にFMCに切り替えられない従来キャリアに対し、結構な差別化メリットになるのではないかと思います。
また、リクルートの「R25式モバイル」も、リクルート久々の携帯ビジネスへの「再参入」としてこのブログでも当初から注目し、個人的に取材させていただく機会もありました。
そこで伺った話ではやはり、今後携帯勝手サイトの可能性に大きく期待を寄せているようでした。
今まで、携帯CPに、こうした「脱公式サイト」の動きがなかったわけではありません。しかし、「やっぱり課金しやすいのは公式サイト」「勝手サイトはプロモーションが大変だ」などの声は、こうした公式CPから必ず出てくる言葉でした。
しかし今後、公式サイトでのビジネスは勝ち組と負け組の格差は広がる一方。なおかつ、パケット定額制により、勝手サイトの領域でも、特に「広告ビジネス」「mコマース」「CRM」において、大きな成長が見込めます。
2006年には、脱公式サイトの動きはまだまだ本格的なものにはならないとしても、その動きは加速するだろうと思います。
ついでに言えば、既存の携帯CPには、こうした流れを受けて急激に地盤沈下を起こす事業者もいくつか現れてくるだろうと思います。こうした領域には、次々と大手既存事業者が満を持して参入を行ってきます。
やや皮肉めいた言い方をするなら、今まで公式サイトビジネスの上にあぐらをかいて、自社の「のれん」を認知させる努力を怠ってきた事業者は、勝手サイトにおいては苦戦を強いられることになると思います。
さて、だいぶ長くなってしまいましたが、これが僕なりの携帯業界トレンド2005年のまとめです。
では改めて、皆様よいお年をお迎えください。
来年も当ブログをよろしくお願いします。
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