「1円携帯」は今後もなくならない~モバイルビジネス研究会
「1円携帯」規制へ、総務省が料金体系見直し要請(読売新聞)
おいおい何を言っているんだい。なくならないよ1円携帯は。
26日火曜日に開催された「モバイルビジネス研究会」の第八回。
それに先立って書かれた若干トバし気味のこの記事、
何かヘンだと思ってたんだ。
一体どうやって1円携帯を規制するの?販売店の値引きを禁止する?キャリアが出してる販売奨励金を禁止する?
販売店がどんなに型遅れの不良在庫ケータイを抱えても、「在庫一層激安セール」もやってはいけないの?
総務省がそんなことを命令できる法的な根拠はどこにあるの?
モバ研はほぼ毎回傍聴してきましたが、いつも不思議なのが、通常の会見や発表会ではセレモニーの後に必ずワンサカ集まる、いわゆる報道陣の「ぶら下がり」という光景がほとんど見られないこと。
みんなもっと質問したらいいのに。モバ研の議論は確かに難しいけど、誤報を出すのはよくない。
総務省でモバイルビジネス研究会を仕切っているのは、電気通信事業部の料金サービス課長である谷脇康彦氏。
同氏は今までにもMVNOガイドラインなどの原文も作成し、今回のモバ研でも研究会報告を直接執筆する立場にある「モバ研の影の仕掛け人」といった存在。
上記の報道を疑問に感じていたので、谷脇氏に研究会の後で質問しました。
三田:「今回の報告案を見る限り、これで1円携帯がなくなると言える根拠はどこにもないように見えますが?」
三田:「読売新聞の事前の報道は、あれはどういう根拠で書いているのですか?」
谷脇氏はハッキリと答えたよ。
「あれは間違いです。1円携帯はなくなりません」
◎モバ件の核心は「認証機能の開放」と「通信コスト原価の透明性確保」
研究会の後も、報道を見ると「2008年度以降SIMロック解除を視野に」とか「1円携帯がなくなる?」などの見出しがやったら多いんだけど、それらはモバ研の議論の本質ではないと思いますね。
今回の報告案で、もっとも重要なポイントは2点。
1点目は、キャリアが頑として譲らない、「(網)認証の機能」や「プレゼンス情報(位置情報)」を、MVNOなど他の事業者に開放せよという議論が、ついに具体的に実施に向けて動き出したこと。
2点目は、「販売奨励金」や「通信サービス奨励金」(実はこれが大問題)を、会計上キチンと分離して、言わば「通信コストの原価」みたいなものを白日の元に晒そうという意図。
この2点がモバ研の核心であると言っても過言ではない。
結局は市場原理で決まるしかない「1円携帯が是か非か」って議論はむしろ結果論であって、市場の需要があれば、1円携帯は残るでしょうよ。そして、それ自体を規制することなんて、少なくともこの日本では誰にもできやしない。現行制度下では。
実際、「誰のためのモバ研なのか?」なんて記事が平気で出るようなムードだから、モバ研の趣旨が理解されにくいのはわかりますよ。
「誰のためのモバ研か」って?
国民のために決まってるでしょう。
携帯キャリアのためでも、メーカーのためでも携帯コンテンツ業界でも、ましてや携帯関連メディアの利益のためでもない。
通信コストというのは、産業の基幹、生活の基幹ですから、下がれば下がるほど労働生産性は上がり、国民の福祉は向上するに決まってる。
プッシュトークなんて仕組みをユーザーに押し付けたり、不正競争の疑いも濃厚な携帯クレジットに無理やり加入させたりするその前に、通信コストが下がることは、すべての人の携わる産業・文化・福祉に、カネでは勘定できないぐらいの恩恵をもたらすということを、まず報道する側がしっかり理解すべきじゃないんだろうか。
すっかり忘れられているようだけど、総務省のモバイルビジネス研究会は、その上部構造として、昨年から同省が開催してきた「IP化の進展に対応した競争ルールの在り方に関する懇談会」があるということは、極めて象徴的だと思う。
やや乱暴に言ってしまえば、
「これからはオールIP時代になり、4GやらNGNやらになれば、固定か携帯かっていう区分けも意味を失う。通信コストは下がる一方で、ではレガシーな固定電話や携帯電話のパラダイムを引きずっている現在の通信の仕組みが変わっていく中、一体誰がババを引くか?そのサンクコストを誰に負担させるのか?」
ってな、極めて大きな議論の中に、モバイルビジネス研究会があるのじゃないかと。
たとえば、キャリアが頑として開放しない網認証やプレゼンス情報。
もちろん個人情報保護は大切だけど、色々な事業者がそれらを適切に利用できれば、一体どれだけの新ビジネスが創出されることか。
世界のどこにもない超先進的サービスが、たちまち両手の指で数えても余るぐらいは出てくるはず。
そして各キャリアの「通信の原価」が明示されたら、MVNOの接続料金交渉において、いかに有利かつ安価に価格が決定できるようになることか。
それと同時に、「何も余計なものが付いてない電話やメールの料金」が判明すれば、消費者が必要なものと不要なものを、どれだけキチンと選別できるようになることか。
認証機能の開放も、会計基準の明示にしても、これらはすべて、総務省の権限の範囲でキャリアに実施を迫ることができる部分なんですね。
1円携帯やSIMロック解除は、それらの議論の結果として出てくる「かもしれない」現象に過ぎないでしょう。
今回の報告案を見て、一時はどうなることかと思ったモバ研にも、まだまだ期待が持てると感じた次第です。
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コメント
はじめまして。
一円携帯等のマスコミ記事には、くびをかしげていたのですが、核心はそういうことでしたか。政治にうとい技術系としては、とても参考になりました。
また、更新が続くとうれしいです。
投稿: 円山貫 | 2007/06/28 12:28